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2015年 07月 12日
行動展を見た日
もう2〜3週間程前になると思いますが、アートプラザで開催された『第42回 行動大分作家展』へ行ってきました。
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作品写真掲載の許可を取っていないので、一作品毎載せる事ができませんが。
鑑賞した感想を。

首藤盛子さんの作品は、パワフルでした。ドローイングの楽しさがそのまま大画面のキャンバスに表現されている感じでした。画面には昆虫や動植物に子供(?)が描かれていて、ワーッと描いて描いて描いて、それが層になってパワフルな作品になっていました。

嶋田純子さんの作品は、抽象画。四角形の色面をメインに構成された作品で、暖色系でまとめられて柔らかい印象でした。絵具だけでなく、段ボールのコラージュによる厚みがあり、画面のあちこちに見所がある作品でした。

土師明子さんの作品は、アニメキャラクターのようなタッチの子供(?)を描いた作品。画面いっぱいに描かれた顔の作品は、奈良美智氏の作品を想起させます。今回はマチエール作り等にチャレンジしてたような印象で、以前の作品とは少しタッチが変わっていました。

伊藤裕美子さんの作品は抽象画で、オシャレでした。全体的に白っぽい画面に、柔らかい色面やアルファベットのような文字達が散りばめられていました。絵具のチューブを絞ってそのまま書いたような感じで盛り上がりのある文字が不思議な感じでした。僕はグラフティが好きなので「読めるようで読めない文字」みたいなものに惹かれます。

児玉成弘先生の作品は、今回もパワフル。前回に引き続き、一発描きのような潔い筆致。タイトルが『カタストロフィ=苦界浄土』で、重みのあるダークな作品でした。ベテランの先生ですが、「ぶちまけたる!」という様なアグレッシブさが絵に表れていました。

岡村知子さんの作品は、白い画面に縄を縦に並べて配置し色をつけられたシンプルな作品でした。一見作品からは訴える物が無いように思えますがミニマリズム程無表情では無く、色の着いた縄の配置にリズム感があり、縄のうねりにも全て異なり、散らされた絵具にも表情があり、「耳を澄まして聞くと小さい声が聞こえる」ような作品でした。

溝部京子さんの作品は重厚感のある作品。絵なんでしょうか。半立体というのでしょうか。『ターミネーター』とか『アキラ』が好きな僕にとっては、じっくり見てしまう作品です。機械の内部の様に見えますが生き物の様な有機的な部分があり、対極のものが共生しているような作品です。

池辺法子さんの作品もまた「絵なのか?」と思うようなインパクトのある作品でした。ドローイング、ペインティング、コラージュメインなのですが、大きな網(タモ)、そしてそれに引っかかった紙袋、形をそのまま残して貼付けられた手袋など。大胆過ぎて誰もやらない様な事をやっている作品でした。

加藤光馬さんの作品は、無数の黒い線の間から見える鮮やかな色で表現された抽象画。だと思ったら、蛙や蛇が描かれている・・・?と思って近づいてみると、蛇の抜け殻。もっとじっくり見ると干涸びた蛙がそのまま貼り付けられていました。池辺さんの作品と同じく遊び心満載の作品だと思いました。

三浦和代さんの作品は具象画の様な抽象画。流れる様に描かれた線が色面を作り出し、色面が重なり合う場所からイメージが広がり、「細胞分裂」の様に絵が出来たのかなと想像しました。キュビズムでもパウル・クレーでもない。福岡のペインターOlive Oilを少し思い出しました。

寺本清子さんの作品は抽象画と具象画の中間で、実物と絵の中間というような不思議な作品でした。カーテンの様な布が大胆にずっしり貼り付けられているのですが、絵と同化して見える部分もました。その影響で、絵具で描かれた黒い線が実物の棒に見える錯覚を起こしてくれました。

藤塚智子さんの作品は円形に切り抜いた紙を貼付けるコラージュをメインにペイントする作品でした。今回は始めての試みで割れた鏡を貼付けるという挑戦をされていました。柔らかい印象の円形とシャープな鏡の破片のコントラストが印象的ですが、これから加筆されるそうなので完成したら見てみたいです。

汐月顕さんの作品は、ゴテゴテのマチエールで表現されたアナログなタイポグラフィ(たぶん、前回もそう表現しました)。ワープロやパソコンで出力したようなしっかりしたフォントやステンシルや手書きの文字がメインの構成。しかし、見方によっては風景画にも見えるような抽象画でした。

守末利宏さんの作品は、今回の展示作品の中では一番写実的でした。趣のある古い感じの(田舎の日本の?)風景画。落ち着いた色調でスタンダードな絵画ではあるのですが、木枠に張ったキャンバスに描かれているのではなくパネル(?)にキャンバス布を破って貼付けていて工夫されていました。

高木岩義先生の作品はデカルコマニーを利用した抽象画。しかし、今回の作品は以前のものとは画風が変わっていました。繊細なグラデーションで表現される事が多かったのですが、今回はスプレーを使用して超大胆な描写をされていました。超ベテランなのに、新しい事にチャレンジされている精神に驚きました。

古藤隆司さんの作品は、焼いた金属を張り合わせて構成させた平面作品。その金属というのが、ビールの空き缶。金属を焼いて仕上がった板にも見えますが、陶芸作品の肌の様に土を焼いた様にも見えました。驚いたのが、缶の印刷のデザインが焼く事によってレリーフの様に浮き上がっている事です。不思議でした。

井上茜さんの作品は、ドローイングと立体作品。ドローイングの方は三つ編みの編み目の様な細かい線が無数に描かれ、正方形の薄い紙に正円形にまとめられた作品でした。展示方法が変わっていました。立体作品の方は粘土(?)で形成された作品で、こちらも無数のヒダの集合体。土器の欠片のようにも見え、ケーキのデコレーションのようにも見え、生物の体の一部を拡大した物の様にも見える作品でした。

柚野朝男さんの作品も立体作品。木と漆で制作されたのでしょうか、黒い円盤形の作品で『空を旅する』というタイトルと一緒に見るとUFOに見える・・・というのは単純な考えですね・・・。光沢のある黒い作品ですが、赤や茶色の層が円形のラインになって部分的に現れているのが綺麗でした。

森貴也さんの立体作品は2タイプありました。NYでの思い出を作品にしたものと、彼のいつもの作風が表れたもの。メインは後者でしょう。最近彼が作っている作品は金属が鏡の様に磨かれて光沢が出た部分と錆で劣化した部分という対極の要素が1つの作品で共存しているというもの。今回は金属を使用して植物の柔らかさを表現しているのかなと思いました。

全作品について、僕の思った事を簡単に書いてみました。

今回の作品を全て見て気付いた事は、マチエールの処理に凝っている作品が多かった事です。絵具を厚塗りしたり、紙をコラージュしたり、画面に大きな物を貼付けたり、レリーフの様に画面に大きな凹凸がある作品もありました。
また、ベテランの方の作品からも「攻め」を感じました。「自分は画風も完成されているし、簡単にちょちょっと描けば良いだろう。」みたいな感じは受けませんでした。画風が確立しても尚、その先を追求しようとする姿勢を感じる事ができました。この会の先生の姿勢がそうだから、会員の方の大胆なチャレンジ精神に繋がっている気がします。前述したマチエールの事にもつながりますね。
大分行動のボス(だと思う)児玉先生のパワフルさも、この会にパワーを与えていると思います。

僕も頑張って描きます。

追記
いつもごちそうしてくれてありがとうございます。
今回は搬出直前にうかがってしまい、その後は用事があって直ぐ帰ってしまいました。。。

by ymtdsk | 2015-07-12 03:26 | 美術 | Comments(0)


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